がくしだったりマイクロだったりすぎもとだったりするひとのメモとか。

ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス』(河出書房新社)

今年の話題作でしたね。

『サピエンス全史』でヒトの歩いてきた道を総括した作者ですが、今度は未来を語ります。ヒトはこのあとどういう未来を生きていくのか、予言では無く可能性のひとつを提示したノンフィクション作品で、大変刺激的ではあるのですが、個人的にはあまりのれなかった。ぼくは『サピエンス全史』は未読でしたが、なんというか、言いたいことそのものより作者の論の進め方が肌に合わないような気がするのでもしかしたらそちらも合わないのかも知れません。

人間たちは「飢饉」「疫病」「戦争」を克服したといいます。現在起きているこれらに類するものは局地的であり、大局的には既に克服しつつあるのだと述べます。そして次に、タイトルの意味のとおり、人間たちは自らを「デウス(神)」にアップグレードしようとしするだろうと言います。すなわち、次に人間が立ち向かうのは「不死」「幸福」であるだろう、と。ここに書かれていることには何の異論もありません。が、新たなビジョンも感じないんですよね。それって、みんな思ってることでは……? 作者は過去と現在未来、いろいろな知識を用いてそれらを説明してくれます。知識への言及はそれはそれで面白いのですが、言いたいことは結局は同じことです。そしてそれは、「そうですね、知ってます」という感想が先に来てしまいます。

上巻を読み終えて、あまり新しい知見が書いてなかったけど後半になると少しは変わるかな、と思ったんですが、これまたあまり新しい知見がありません。「意識って何」みたいな話も、別に異論は無いのですが、新しさを感じません。自由とはなにか、についても同様で、自由意志について考えたことがあるのであれば個々に出てくる話は割と当然のように思えます。もちろん、それを体系づけて考えてみたり、実際の問題と結びつけて考えてみたりという部分は博学な作者ならではの手法ではあると思いますが、裏付けにはなりますが、言いたいことそれ自体がどこかに飛躍するわけでもありません。

というわけで、ふだんもやっと思っていたことをある程度例を挙げつつ総括してくれたという視点で見るとなるほとども思うので決して価値のない時間ではありませんでしたが、当初期待していた新たな知見を得たいという欲を満たすタイプの本ではなかったようです。個別のテクノロジーに軸足を置いて展開される話の方が好みだからかも知れません。

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来