がくしだったりマイクロだったりすぎもとだったりするひとのメモとか。

俳句仲間とHYKEをやったら大変なことになった

こんにちは。

HYKEというボードゲームをご存じでしょうか。ドロッセルマイヤーズさんが考案された言葉のゲームです。

bodoge.hoobby.net

このHYKE、つねづね俳句仲間と遊んだらどうなるかなと思っていまして、先日、無事遊ぶことが出来たのでご報告いたします。

オリジナルルールでは作成する俳句は575であって季語は別に入れる必要は無い、というルールですが、われわれは一応、有季定型俳句をやっているので、HYKEではちゃんと有季定型俳句をめざすことにしています。人数も少なめだったこともあり、ひとり3題だす。自分のお題を引いてしまった場合は引き直す、1周したら減った人はお題を補充する、みたいなかたちにしました。得点計算を最初はしてましたが早々に諦めて、1発目であたったら、当てた人だけに1点、二つ目以降は当てた人・お題の人・俳句作った人に1点ずつ(あとで当てても点は増えていかない)としました。

ふつうの俳句をつくるときとは別の脳を使います。俳句では季語を説明する句はよくないとされていますが、今回はお題を説明しています。一見駄目な気がするんですが、お題そのものを句の中に入れてはいけないというルールがあって、そのお題を説明していながら、お題自体が省略されていることで俳句としてはちゃんと成立することが分かりました。ただ、ふだんそんな作り方をしたりはしないので、なかなか作句が難航しました。わかりやすすぎたり、わかりにくすぎたり。これは結構面白い体験でした。ゲーム会と聞いてきたのに俳句を作らされて、俳句脳になってないと悶絶するみなさん。

まずは、出来た句をご紹介します。

  • マスカット鳩は一味に加われず (作者:桂、お題:桃太郎)
  • 汗ぬぐう母や脇はコテを返しつつ(作者:桂、お題:お好み焼き)
  • 夜の桃外せば予感烈々と(作者:桂、お題:めがね)
  • とりあえず飲んで寝たまえ冬の昼(作者:碍子 お題:風邪薬)
  • 侍と呼ばれし月の光なり(作者:碍子 お題:11月)
  • お化けより難しきもの秋灯(作者:碍子 お題:妖怪)
  • 声に振り向けば実像夜半の秋(作者:朋代 お題:テレビ)
  • 手を出してやっぱり避けて鹿の秋(作者:朋代 お題:奈良)
  • 厚紙が指を切り裂く夜長かな(作者:幽樂坊 お題:トランプ)
  • 初凪や金庫かかへて走る人(作者:幽樂坊 お題:泥棒)
  • 墨汁を吸い込んでゆく夏の午(作者:幽樂坊 お題:新聞)
  • 垂れ幕の駆け出してゆく秋の昼(作者:独楽 お題:裁判)
  • 指揮棒の一点宙へ冴ゆるなり(作者:独楽 お題:コンサート)
  • チンチンと鳴り始むるより秋の風(作者:独楽 お題:踏切)

でも、悶絶していた割には、なかなかそれっぽくなってるとおもいませんか?

今日の問題児は桂さんでした、「夜の桃外せば予感烈々と」で場が騒然となります。まず、句の意味が分からない。夜の桃。何を外したんだ。予感烈々ってなんだ。ヒントを出してもらってどうやら「外す」ものがお題であるとわかってからは、単語を探すゲーム。あてずっぽうでぼくが言った「めがね」が正解でした。わかるかい! 「夜の桃」やっぱり関係なかった。

続く「マスカット鳩は一味に加われず」は意味はとりあえずわかるものの、やっぱりマスカットが意味不明。桃の次はマスカットかよ。結局答えはぼくの出した「桃太郎」だったんですが、お題を出したぼくまで大混乱に。結局マスカットは岡山が産地であるという謎つながりでマスカット出てきたもよう。あまりにも迂遠すぎるのでせめてなにかもう少し近しいものもって来れなかったのか。「島の夏ハトは一味に加はれず」とか、どうかな。ハトもね、キジが居るからなあ。仲間に加われない者としてはもう少し、能力がありそうで加わってもおかしくない動物入れたらどうだろうか。 タヌキ・キツネ・ネコあたりか。ただ「一味に加はれず」の文字の並びには俳句的な面白さを感じます(元句は口語)

普段は何回お題を出すことで場をかき乱している裁判官の独楽さん、テーマが裁判で「垂れ幕の駆け出してゆく秋の昼」という句を出しています。たぶん「勝訴」のあの紙のことを言ってると思うんですが、あれって「垂れ幕」なのか? ぼくは別のお題「犬」のことかとおもって混乱してしまいました。お題を出した人間が悩むのも醍醐味ですね。そしていろんなモノの言葉について細かく考えさせられるのは普通の俳句と変わりません。

簡単すぎるのと離れすぎるのバランスが難しくて大変盛り上がりました。結果的に得点計算はもはやどうでもよくなっちゃいましたがw たいへん面白かったです。

おもしろい現象がありまして、お題を出した人間がお題を覚えていられるかどうかと言うと意外と忘れるんですよね。そして、自分のお題から遠い句を出されると、なぜか句を見た瞬間にそのお題だけを忘れるという謎現象が発生します。句が近いとすぐに記憶がそのお題を上書きするんでしょうけれど、遠いとむしろお題の記憶を目減りさせるようなことが起きます。この感覚は新鮮でした。

俳句をやられてる皆さん、たまにはこういうお遊びもどうですか?