がくしだったりマイクロだったりすぎもとだったりするひとのメモとか。

「INGRESS THE ANIMATION」(原作:Niantic,監督:櫻木優平)

まさかのアニメ化で楽しみにしていたところで、 Netflix で全話配信されていたので全部一気に観てみました。

主人公翠川誠は触れた物質の記憶が読める特殊能力の持ち主。子供の頃から、その能力を気味悪がられてきた。現在はその能力を使って警察に協力していた。あるとき、東京にある研究施設で謎の爆発事件が起きた。現場に倒れていた女性のリングから記憶を読み取った誠は、目の前で爆発するひとりの男の姿を見る。スマートフォンに届いた謎のメッセージに導かれ、誠はその研究者である女性、サラを病院から連れ出そうとする。彼らを追う二つの団体、ひとつは何かを研究している巨大組織ヒューロン、もうひとつは、爆発以前からサラを保護しようとしていた組織レジスタンス。サラから誠はこの世界の背後に目に見えないエネルギーがあることを知らされる。逃亡中についにさらわれてしまったサラを助けるべく、レジスタンスのジャック(主人公のひとり)と手を組み、誠はやがて世界を巻き込む大きな陰謀に取り込まれていく……。

おもしろかった。ぼくはingressというゲームをずっとしてきた人間ですから、ゲームとどういう関係があるかというところが楽しみの一つでした。この物語は、ゲームの世界に過剰に立ち入ることなく、かといって離れすぎることもなく、そのエッセンスを上手くストーリーに取り込んでいるように思います。もともとIngressというゲームにはバックストーリーがあって、単にゲームをやっていただけだとそれらは断片的にしか分かりません。もっとも公式のイベントを丁寧に全て追っている人にとっては断片的ではないのでしょうけれど、普通にやっているだけでは世界感そのものと、そこに配置されている要素、ポータルだとかXMだとか、そういうものを説明するSF的な裏付けみたいな者は分かりますが、どういう研究がなされてきてどういう事件があって、というところまでしっかり追うことは難しいのです。このアニメはそういういちおう公式で既に語られているストーリーともまた少し距離を置いています。公式のストーリーは文字通りバックストーリーで、完全にゲームの中にあるのですが、このアニメは、ゲームと外の世界の間にあるようにつくられていて、そこがけっこう巧いなと思わされました。

たとえばこれは「選択」の物語です。これは、ゲームをやっていた人間にとっては非常に象徴的です。というのもの、Ingressというゲームはたかがゲームではありますが、人によっては人生さえも変えてしまいかねない、重大な「選択」から始まるからです。作中で主人公たちはいくどとなく「選択」を迫られます。どちらかを取ればどちらかは選べない。これをテーマに入れたところに感心します。

そして、Ingressのコンセプトでもある現実世界でいろいろなところに行ってもらいたいという体験、というのもロードムービーのような展開で実現されていますし、グローバルに展開されているゲームという要素も、舞台が多岐にわたり、様々な人種がそれぞれの立場で出てくるというところでリンクしています。Ingressというゲームが戦略ゲームとしての側面を強く持っていて、エージェントがそれを楽しんでいるところも重要なシーンとして描かれています。また対立している陣営がどこかで手を取り合わなければならないという部分も象徴的です。

同じNianticポケモンはもともと作られていた世界感を現実の位置情報に持ち込んだゲームなので、「あのポケモンの世界で遊でいる」というようなニュアンスがあるように思いますが、Ingressはそのテーマの通り、目に見えている世界に重なってもう一つ世界があるんだと言うことを教えてくれるゲームになっていて、むしろ、ゲームを通じて現実が拡大されたかのような作りになっています。すでにIngressにハマっている人間にとってはもう現実の一部なわけです。で、このアニメにいたって、すでにIngressというゲームで触れていた現実に、さらに壮大なストーリーが乗っかってきたようにつくられていて、自分が本当にアニメの世界の中でひとりのエージェントとして、実は世界の行く末さえも左右するような事件の一部に組み込まれてるかのような錯覚さえ覚えます。現実にアニメが侵食してきたような、これはなかなかに新鮮な体験でした。

見え方先行のアクションシーンや、巨大組織の割にはお粗末な手回しなど展開にはやや無理がある部分も感じなくはありませんが、そこは見せたいものがはっきりしているので、そういうものだと思えば気になりません。

続編が用意されているかのような終わり方ですので、アニメとしての今後の展開も楽しみです。

公式サイトはこちら

ingressanime.com