がくしだったりマイクロだったりすぎもとだったりするひとのメモとか。

沼口麻子『ほぼ命がけ サメ図鑑』(講談社)

ぼくがシャークジャーナリスト沼口麻子さんのお名前を知ったのは、中島みゆき「サメの歌」がきっかけです。これはアルバム『真夜中の動物園』に収められているマイナーな楽曲ですが「不器用でまっすぐ前にしか進めない」というヒトの愛おしさをサメに例えて歌っている味わい深い歌で、ぼくも結構好きなのですね。で、みゆきさんのコアなファンの方がこの曲がラジオでリクエストにかかったということをツイートしていて、いったいなんでまたこんなマイナー曲を? とおもってそのラジオ番組のゲストが、シャークジャーナリストなる初めて聞く職業でして、沼口麻子さんという名前を知ったのです。

その後、Web記事などをいくつか読みまして、単著が出ていたことを知り、これは面白いに決まっていると思って早速購入した次第です。

ほぼ命がけサメ図鑑

ほぼ命がけサメ図鑑

サメ図鑑とありますが、本書の魅力は「サメと作者のかかわり」の部分でしょう。たしかにサメの生態や、食文化やサメと人のかかわりなど、豆知識としても十分面白く読めます。が、本書の面白さはタイトルの「ほぼ命がけ」という部分、作者がサメを愛して、サメについて知ろうとしているエピソードですね。第一章はサメのQ&Aでこちらでも作者のエピソードが垣間見えますが、あくまでもサメについて知ってもらおうとしているか、自己主張は控えめ。第二章が本領発揮といったところです。サメを一つ取り上げてそのサメと作者とのかかわりを書いたものですがここがすごく面白いんですよね。サメとの出会いの数だけ、他人が見ても面白いエピソードがあるようで、ほんとにシャークジャーナリストってのが作者にとっての天職なんだなあなんてことを感じました。

作者はサメのジャーナリストです。なので、生物学としてのサメ以外のことにも興味を持って調査に出かけます。それが第三章でサメにまつわる様々な文化としてかかれていました。二章ほどの「命がけ」感はありませんが、作者が研究者ではなくジャーナリストを名乗っていることがよくわかる章でこれもとっても面白く読みました。

本書は結構分厚いです。ページにして、380ページ。最初はこんなに分厚い本にまとめなくて、切り口ごとに小分けにしたほうがいいんじゃない? とも思ったんですが、この分厚さもシャークジャーナリストの自己紹介、という意味ではどこも削れなかったんだろうなと納得いたしました。今後の活躍にも期待したいです。