黒かわず句会でした。
春埃尻まるだしの家鴨かな 幽樂坊
「お題:ディスニー縛り」で出した句。なんというか、こういったお題の場合は、普通に見える光景との重ね合わせにしたかったんですよね。この句会の異常なところは、ディズニー縛りで出された句の季語が「春埃」「つちふる」「黄砂」となんだかほこりっぽい感じのものばかりだったことです。ディズニーのイメージにほこりないだろ!
「お題:ねばねばぬとぬとした感じ」でだしたのはこちら。
つつまれて死んでゆきたし蝌蚪の紐 幽樂坊
これは、案の定指摘されたんですが、「紐」と「つつまれる」がイメージで衝突するんですよね。紐なら「くびられて」とか「からまれて」みたいなほうが本当はしっくりきます。ただ蝌蚪の紐ってやわらかいし、実際の光景としていえば「つつまれて」でもおかしくないんです。おかしくないんだけど「紐」という文字は、そこに違和感を発生させるに十分なわけです。俳句は短いので、そこに書かれた文字列のインパクトは、意味として描かれたものと同じくらいの強さを持つと思っていて、そこに違和感を生じさせてしまうと、それが弱さになるんですよね。
なのでこれはちょっと弱い。
食べたのは春愁の煮凍りでした 幽樂坊
これも、弱いなと自覚してました。まずこれ季重なりなんですよね。「春愁」は春という文字があって強い季語といえるので、さほどマイナス点が多いわけではないのですが、「煮凍り」という文字の中に「凍り」が入っているのはよろしくない。せめて「煮凝り」表記を使うべきでした。まあそこは大きな欠点では無いと思うのですが、問題は上五です。にこごりはそもそも食べ物なので、食べるに決まっている。上五の意味がほとんど無い。これはこれでそうしたことに意味はあるんですよね。結局「春愁の煮こごり」ということを書きたいので、上五も下五もたいしたことを書きたくなかったんです。ただ、だからといって「食べたのは」はないな、と思う次第でした。
楽しかったです。おわり。