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がくしだったりマイクロだったりすぎもとだったりするひとのメモとか。

ジム・ケリー『逆さの骨』(創元推理文庫)

逆さの骨 (創元推理文庫)

逆さの骨 (創元推理文庫)

 発掘現場からひとくみの人骨が発見された。かつて捕虜収容所だったそこは、脱走のために掘られたトンネルのようだったが、奇妙なことに、人骨は額を打ち抜かれていたが、問題はその向きだった。死体は外ではなく、捕虜収容所に向かって倒れ込んでいた。いったいここでなにが起こったのか。新聞記者のドライデンは事件の匂いをかぎ取り、調査を開始する。そのころ街ではいろいろな事件が発生していた。

 とまあ、謎としていえば「そりゃパニックになったらそんなこともあるんじゃないの」とか言っちゃいけない感じではじまります。前作までと同様に非常に薄暗いかんじで、脱走用トンネルをずっと這い進んでいるかのような印象。じわじわ進んでいくんですが、とにかく息苦しい。

 けっきょく、ぼくにはどうもこの作者の小説の「息苦しさ」は今回もあわないということが確認できました。あまりにもあわないのでぜんぜんページが読み進まなくて、数ヶ月も持ち歩いてたら、話がどんどん分からなくなって戻っては読み直しみたいな連続で悪循環ですよ。まあこれは半分以上作品の生徒言うよりぼく自身の問題ではありますが、読書体験として苦痛きわまりなかった(でも読み終えることにはこだわってしまうのだった)。

 ドライデンは刑事ではないので、とにかくいろんな人に合いまくって事件を解きほぐしていきます。だいたい1セクションにひとりの人物の処を訪れて、それを繰り返していくうちに、外的なできごと起きて少し事件が進展する。それが過ぎるとまた人物行脚です。たまに事故で思うように話せない妻と感情の交換を行う。タクシーの運転手ともたまに行う。それをくりかえす。

 人物たちもそれぞれクセがあって非常に人間くさい。それもいいんでしょう。でもぼくにはそんなに興味が湧かないんだよなー。もっとバカっぽいやつはおらんのか。捕虜収容所を巡る謎解きは、ドライデンの身内まで巻き込んで当初とは違う構図を描き出します。それ自体も非常に丁寧で、なるほどとは思いました。でもでも、やっぱりそこに辿り着くまでの、なんかこの作品全体の息苦しさはいかんともしがたい。それもまた魅力のひとつなのでしょう。ただただ、ぼくがそういう小説を好きではないだけなのです。

 3冊読んであわないんだからさすがにもう読まなくても良いよね……。